空、からのあれこれ
空が広いって、それだけでなんかいいなあ。
もっとも、空はいつだって同じ大きさでそこにあるのかもしれないけれど。
普段いろいろなものに遮られてる分、どーんと開けたところに出ると、ハッとする。
薄水色の空に、ふわふわした雲がいくつか浮かぶ。
いや、空の色は「空色」としか形容できないような、複雑な色だ。
あれだけ広いからこそ、緩やか〜なグラデーションや絶妙なまだらも表現できる。
時間帯や、日によっても大きく変わる。
吸い込まれてしまいそうな、濃い青で雲ひとつない空もいいし、強い赤と紫の地に、ぼこぼこした雲がずーっと広がって、なにも寄りつかせないような空もいい。
まだ太陽を感じられる時間帯に月がうっすらと出てきたり、雲の切れ間からぽつんと星が見えたりしているのも、いい。
もちろん、満天の星空もいい。
小さい頃に描いた空がどうしてもしっくりこなかったのは、それだけ表現しがたい色や複雑な濃淡をしていたからなのだろう。
一色だと思ってしまいがちなものには、実はもっとたくさんの色が含まれ、混ざり合っているのかもしれない。
一方で、あえて一色あるいは二色で表現するからこそ出てくる親しみやすさ、わかりやすさもある。
多くの人が目にするアイコンだったり、服装だったり。
あえて複雑さを極力とっぱらうからこそ、生まれる伝わりやすさがある。
複雑さに気づけることと、大事な部分だけ残してすっきりとまとめられること。
どちらも大事にしたいことだ。
単純に、わかりやすく簡略化すればいい、というものでもない。
複雑さを知っているからこそ、難しさを知っているからこそ、すっきりとシンプルに表現できるし、簡単な言葉が深みをもつようになる。
なにごとも「あえて」だから惹かれるんだよなあ。
最初から狙ってシンプルを目指したものは、表面的にはいい感じがするけれど、すぐ心が離れてしまうのだろう。
開けた空を見てハッとするのは、きっとそこに簡単には削ぎ落とせないものがたくさん含まれていて、その全部をからだで受けとっているから。
言葉にしたくないけど、してみたい。
なんとか残しておきたいけど、まあいっか。
そんな、なんともいえない気持ちにさせてくれる。
よし、将来の我が家は屋根に上がれるようにしようかな。