ちいさいものおき

普段考え感じることは、ほとんどが忘れていってしまうものばかり。けれど中には、ちょっととっておきたいものも、やっぱりあります。そこで、「今」の「自分」が考え感じることを置いておけるような、「ものおき」があったらいいなあと考えました。たくさんは入らないものおきに、小物をいくつか並べたり、大物を入れるために整理したり。 ずっと隅っこにあったものに気づいて、久しぶりに眺めたり。 ちいさいからこそ、一個一個を見つめ直して吟味する。 統一感は特にない。そんな感じの「ちいさいものおき」を想像しています。

たまごとからし

「このたまごサンド、からし入ってる?」

「いやあ、別に入ってないよ」
「ふぅーん…」
 
昼ごはん中に、こんなやりとりがあった。
なぜかはわからないけれど、口に含んだ瞬間にからしを感じた。
 
時々食べるサンドイッチに、マスタードが使われているからだろうか。
それとも、たまごサンドの黄色さによってだろうか。
そのどちらでもなく、そもそもたまごにはからしと似たところがあるんだろうか。
 
 
先入観を取り払ってみると、あるいは無意識に外れていたりすると、思わぬところに共通点が見つかったりもする。
たまごはまろやかで、からしは辛い、それだけのものじゃなかったりする。
口に含んだ瞬間の、鼻のちょっと深いところにぎゅっと迫るような苦さというか茶色いくささ、かなあ。
なにかが似ている。
 
そう思って、普段口にしている食材を思い返してみると、その多くは、他のなにかの食材との組み合わせでしか食べていないことに気づく。
たまごならたまごだけ、からしならからしだけ、そんな食べ方はなかなかしない。
たまごとからしは、まだもともとの形に近い状態で口にするものだけれど、野菜や肉や魚、これらってほとんど、他のなにかと一緒に調理されてる。
あ、でも米とか果物は、そのままのことも多いか…。
 
 
とれたてそのまま、下ごしらえ中のつまみ食い、あえてなにもかけずに食べてみる。
そういう体験は、今までにない新しい感覚をもたらしてくれることもありそうだ。
料理はもちろん美味しく、ありがたいものだけれど、ときにはそんな食べ方をしてみてもいいなあ。
 
今度、たまごとからしに向き合おう。